今回の記事では、透析時間について、簡単にお話させて頂きます。
透析と言えば4時間が当たり前と、きど兄も腎臓内科医になりたてのころは考えていました。今思えば、透析時間について真剣に考えていなかったなと反省しています。
1)ベストな透析時間は何時間?
2)HDP:72以上の勧め
1)ベストな透析時間は何時間?
一般的に、血液透析は1回あたり4時間で実施されることが多いです。
きど兄は1回あたり8時間の長時間透析をお勧めしています。
もしあなたが、本当にベストな透析時間が何時間かと聞かれたら、どう答えますか?
この問いに対する1つの回答が、24時間です。
本来、腎臓は24時間、365日、体を掃除してくれていた臓器です。その腎臓の機能が低下、あるいは停止してしまったとなると、24時間の透析で体を浄化するのが望ましいのではないか、ということです。
「毎日24時間の透析」は極端ですが、4時間の透析がベストかどうかはしっかり考える必要がありそうです。
2)HDP:72以上の勧め
HDPとは・・・hemodialysis prodct(ヘモダイアリシスプロダクト)の略です。
計算の方法は非常に簡単で、下の式で求めることができます。
HDP = 透析時間 × 1週間あたりの透析回数 × 1週間あたりの透析回数
つまり、1回あたり4時間、週3回であれば4×3×3=36となります。
週3回、1回あたり8時間であれば8×3×3=72となります。
HDPは透析を十分に行えているかの指標として知られています。HDPの早見表を下に載せておきますので、ご自身のHDPを確認してみてください。(画像をクリックすると拡大します。)
他にも透析を十分に行えているかを判断する指標にKt/V(ケーティーパーブイ)というものがありますが、HDPは透析時間と透析回数のみで計算できる、とてもシンプルな指標です。
The Hemodialysis Product (HDP): A Better Index of Dialysis Adequacy than Kt/Vという論文ではHDPに関する数々の研究結果がまとめられています。英語ですが、論文中の表を載せておきます。(画像をクリックすると拡大します。)
要約すると・・・
HDP36(4時間透析、週3回)では「不十分、アメリカの多くの患者がここに該当」
HDP45(5時間透析、週3回)では「まずまず。低栄養や血圧管理が困難になり得る」
HDP72(8時間透析、週3回)では「十分な透析、元気に過ごせる、無茶な塩分摂取をしなければ血圧管理も可能」
HDPでは透析時間だけでなく、透析回数が重視されています。かもめクリニックという、長時間透析を専門に提供されているクリニックでは、週に3回、もしくは週に4回の透析を受けている患者さんもいらっしゃり、8時間×4回の場合は8×4×4で、HDPはなんと128です。
あくまできど兄の経験ですが、長時間透析を受けているかもめクリニックの患者さんが元気に見えたのがとても印象的でした。
こういった透析を提供すべく、きど兄は日々精進して参ります。
最後に、少々宣伝になりますが、こうすれば、透析者は「元気で長生き」できる!という書籍をご紹介させてください。HDPについても触れられていますし、透析患者さんが元気に長生きすることを本気で考えて書かれた本だと思います。長時間透析の入門書としても良書ですので、ご興味ある方は御覧ください。